お付き合い
蒸し暑さは少し残るが、セミの声も虫たちの声に変わり始めた9月。宝寿学園では2つ目の大イベントの準備が行われていた。
【宝寿学園 秋祭】
その名の通り、秋といえば!な体育祭と歌の発表、美術の作製をする。残念ながら特進科は美術部門しか参加しないため、学園祭ほどの盛り上がりは見せないが。
「夏休み終わったと思えばこれだもんなー。授業とかまともになくね?」
『なに、ユッキー勉強したいわけー?』
『うわ、エセ優等生め!』
『ユッキーに課題任せようぜっ』
「ちょちょっ、ジョーダンだって!」
「ふふ、幸ちゃん勉強苦手だもんね」
「遙香ぁそりゃないぜ」
何とも情けない顔をする幸慈に、遙香はまたクスッと笑った。あれ以来連絡もなく、もうダメかと思っていたのだが、いざ学校が始まるとこれだ。前よりも人の前で笑うようになっており、幸慈に対しても普通に接してくる。
幸慈の本気が伝わったのか、休み中に何かあったのかは分かっていないが、遙香が何もいわないなら聞かないでおこうと決めたのだ。クラスもそれに習って普通に接している。
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