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電話を終えた遙香の顔は、無に近かったといえる。人を利用するなんて普通じゃない。それは分かっているけど……心が爆発してしまいそうだったのだ。
狛璃に会いたい、
狛璃と会いたくない。
零鬼に甘えるという手もあるのだが、弟だといってくれた人にそこまでできないから。だから駿に頼った。汚れてるならもういいじゃないか。それが目当てなら応えちゃえばいい。少しヤケになってる所もある。
(にぃにっ…大好き、です…)
だからあの人の手を借りたんだよ、そう心の中で呟いた。
せっかくの夏休みは、失ったものが大きかった。離れ離れになってしまった心は再び戻ることはあるのか。
行き先不安はみんな同じだ…。
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