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ジメジメと蒸し暑い夜は更ける。1人の男によって全てを崩された彼らを飲み込むように、そして考える暇を与えず、日はのぼった。
3日目は夕方頃に帰る予定だったため、まだバイトが残っている。遙香はオバサンにいって中の方の仕事をさせてもらうことになり、幸慈と彰鬼だけで客の相手をした。
◆
『ほんとに助かったわーありがとね』
「いやいや、楽しかったし」
『気をつけて帰るのよ?特に遙香ちゃん!』
「っあ、は…ぃ、大丈夫…です」
『またいつでもいらっしゃいね』
オバサンに遙香と幸慈が手を振り、2泊3日のバイトは終わりを告げた。大繁盛だったということもあり、多くもらったバイト代は何だか心に重くのしかかる。
朝から一言も喋らない彰鬼、2人とは目を合わせようとしない遙香。楽しかったはずなのに、重苦しい。
(うわー…俺気まずっ!)
遙香と彰鬼の間に挟まれる。冷や汗は止まらないし、遙香に対して不安な部分もある。もう今まで通りには戻れないのか、去っていく遙香の背中を悲しそうに見つめていた。
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