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そして入れ替わるようにオバサンがやってきた。この人もまた話を聞いてしまったのだろう、泣きそうな顔をして遙香を抱きしめた。
「やっ…!?」
『ねぇ遙香ちゃん…泣いていいのよ?』
「っ…」
『オバサンなら大丈夫でしょ?思ってること全部、吐き出してちょうだい』
どうして、
「どうして…普通の好きじゃダメなのかな…っ。どうして、嘘、つくのかなぁ…?
分からないよぉっ…ふぇぇ、み、な怖い、信じれないっ!好きってなに?愛してるって、なに?どうしてあんな変なことするの…ぉ?
ひっう、みんな、みんなっ…大嫌い!!」
『そうね…遙香ちゃんは好きな人、いないのかしら?』
「好きだったもんっ…しょ、ちゃも好きだったの!うぇぇ、でももうやだよぉ」
『それは友達や家族としてでしょう?そうじゃなくて、1人の人として愛した人はいないのかなぁ?』
「ひっく…あ、い…分かんない、分かんないよにぃにっ…!!」
それから遙香はひたすら泣いた。今までのことを全部吐き出して、久しぶりに感じる母親の暖かさを噛み締めて。これが夢だったらどんなに良かっただろうか…。
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