9
縁側で膝を抱えていた遙香。体は震えているし、鼻をすする音が絶えない。こんなときどんな言葉をかけていいのか、それが分からない幸慈はただ横に座っていた。
「……」
「………」
「…………」
「……幸、ちゃん…」
「んー?」
どれくらい経っただろうか、今にも消えそうな声で遙香は幸慈を呼んだ。声が震えている。
「ど、して…僕に話しかけた、の?好きって…友達の好き、だよね…?」
「っ…それは…」
「いってよ、本当のこと。もう…今更1人増えても同じなんだから…」
「あー…うん、始めは1人の人として遙香に好意を持ったかな。今も確かに持ってる」
「………」
「…でも、俺は遙香の友達でいるって決めてるし。遙香が嫌がることはするつもりねーし」
「………嘘」
「ホント。狛璃さんにも釘刺されてっしなー。ま、今は信じてくれっていってもムリかもな。今はゆっくり休んでよ。んじゃ」
長居は無用。1人にしてくれというオーラが遙香から出ていた。今の遙香が幸慈の言葉をしっかり受け取ってくれるのか。それは一つの賭でもあったが…彼の名前を出したのは正解だった。
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