12
「にぃに、にーにっ、花火楽しいねっ」
「にぃにはハルを見てる方が楽しいなー」
「へへ、ありがと」
(火をつけてんのは俺だっつーの)
火をつけて離れてを繰り返す彰鬼は、少なからず狛璃にヤキモチを妬く。5人でいても2人でいても遙香の口からでるのは『にぃに』。分かっていてもツラいものがあり、やはり受け入れることはできない。
「遙香はほんと狛璃さん好きなんだなー」
「うん、大好きっ!」
「俺はかなわねーや」
「?」
「こっちのこと…つか俺は?友達としてどー?」
「好きだよ?みんな好き。優しくて、信じれるよっ」
「そ、俺も遙香好きー!」
「んわ、…わわ」
ギューッと幸慈に抱き締められる。ここまでのスキンシップは今までなかったため、遙香は少しだけ肩を震わした。でも平気なようだ。信頼した人にはとことん甘くなる。
そのまま最後に線香花火をして、その日は波の音とともに静かに終わった。もちろん狛璃と零鬼に挟まれながら。
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