13
「〜♪ん〜♪」
狛璃が美味しいといってくれるのを想像すると、自然と上機嫌になる。麺を茹でながら鼻歌を歌うなんて、1人のときだからこそする行為だ。
ちょうどお皿に盛り終えたころ、狛璃は仕事から帰ってきた。有名な会社に勤めるサラリーマンで、それなりの功績をあげている。だが遙香のために定時で帰るようにしているのだ。
「お帰りなさーいっ」
「たっだいまー!寂しくなかったか?」
「ちょっとだけ」
「っ…ごめんな!!もう大丈夫だからなーにぃにがいるぞっ」
「へへ、うん!」
ぎゅーっと抱き合いながらお帰りのキス。これも5年前からの習慣で、フレンチまでなら唇へのキスもしている。本を読んで知識があるくせに、自分のこととなると理解しきれてないのだ。
「学校はどうだった?」
「ん…いつも通り。ただ…」
「ただ?」
「転入生。僕のこと、色々聞くの」
シュン、とした様子で言えば狛璃は勢い良く立ち上がる。
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