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▼狛璃side
今、ハルは黒いエプロンをつけて前の方に立ってる。
俯いちゃってるし、体が震えてるのもよく分かる。
「うー…ハル大丈夫かなぁ…?」
「あそこに立ててるんだ、大丈夫だろ」
そう、ハルは凄く頑張ってるんだ。それはきっと僕が言ったからじゃなくて……自分で変わりたいと思ってるから。
友達が出来たハル。
黒でも白でもないハル。
人前に出ても泣かなくなったハル。
……誰よりも頑張ってるハル。
福永君の存在は凄く大きいと思う。僕たちじゃ触れることすら出来ない大きな壁を、今少しずつ壊してくれている。
あーでもハルが離れていっちゃうのもやだなー。
「僕もそろそろ弟離れしなきゃなー…」
「出来るのか、狛璃に」
「だってー分かるだろ?」
「……ああ、まぁ」
あんなことがあったんだから仕方ないんだけど、でももっと色んな世界を見て欲しい。
これは第一歩だ。
……、終わったらたくさん誉めてあげよう。
* * *
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