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「俺さ…賞品欲しいんだよね」

「賞、品…?」

「そ!でも料理とか出来ねーしっ…2人ペアだし……ムリか?」

「で、でもそれ…人いっぱい見るでしょ…?」

「ぅ゙…そうなんだよねー」

「…………怖い」


 そう小さく呟く遙香に、やっぱムリだったかと諦める。料理コンテストはもちろん生徒会主催のもので、誰でも参加できる。景品は今話題の地デジTV。他にも特別賞として賞金もでる。

 他の女子にも声をかけてみたが『出来ない』『めんどくさい』で断られ、遙香が最後の頼みだった。……でも、やはり遙香にはムリだ。


「しゃーねぇ諦めよ。…あ、なんか食いもんとかいる?」

「ううん…ごめんね」

「いーって。んじゃ俺、見てこよっかなー」


(…ぅぅ…せっかく誘ってくれたのにぃ)


「そんじゃ、気をつけてな!」

「………うん」


 元気よく手をあげて出て行く幸慈を、申し訳なさいっぱいで見送る遙香。料理は好きだし、友達のためなら…そう思ってもなかなか足が出ない。

 もし、たくさんの人の目が自分を蔑むように見たら?





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