9 「なんかあったのか?」 「……え?」 「1人でいるの嫌だったから来たんじゃねぇの?」 「………うん」 すぐに見破られる。それは彰鬼が遙香のことをよく見ているからであり、遙香自身もそれに甘えていた。自分からはいえないから、気づいてくれる存在は必要なのだ。 「今日ね、始業式だったでしょ?」 「ああ」 「僕のクラスに転入生きたの」 「……それで?」 「隣の席でね、凄く話しかけてきて…気持ち悪いよぉ」 (チッ…気に入られたか) 彰鬼の胸にスリスリと頭を擦り付け、存分に甘える遙香。体を起こし、その頭を撫でてあげると満足したのか、はにかみながら"ありがとう"という。 「ん……彰ちゃん、鉄臭い」 「あー……悪い。ちょっと離れとけ」 「もう、また?……怪我だけは、しないでね?」 「するかバーカ」 ▼彰鬼side 横にちょこんと座るこいつは俺の幼なじみであり、想い人の遙香。 物心ついたときから好きで、兄貴と狛璃さんで大事に育ててきた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |