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泣きながらも遙香はそのシャツをちゃんと着た。だけど着るとまた泣き出してしまう。今までにこんな泣かれたことがない幸慈はワタワタするだけだ。
「か、体は大丈夫か?変なことされてねぇ?」
「ぅわあぁっ!やぁ、だっ…ふぇ、いやぁあぁ…」
「っ…泣くな、な?もうあいつらいねぇからさ…遙香ぁ」
なぜか幸慈の声まで震えている。こうさせてしまったことを悔やんでいるのだろう。それでも結局幸慈が遙香を泣きやますことは出来ず、泣き疲れて寝るまでずっと泣いていた…。
◆
──チュンチュンッ
「……………にぃ…に…」
次の日の目覚めは最悪だった。散々泣いたため目は真っ赤に腫れてるし、昨日のことが映像として蘇ってくる。叫んだためか声も枯れてるし、体もダルい。
チラッとその部屋の中を見てみると幸慈以外は人はいなく、その彼も部屋の隅の方で寝ていた。遙香がちゃんと布団の中にいることから、幸慈が運んでくれたことが分かる。
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