12 残りの4人も幸慈の後についていき、遙香は日陰でそれを眺めた。…泳げないわけじゃない。ただ、乗り気ではないから。…見られたくないから。 (みんな元気だな……。にぃにと来たいな、ここ) キャッキャとハシャぐ姿をみて自分と狛璃に置き換えてしまった。何となくずっと待っているのが嫌になり、人で込み入っている砂浜をゆっくり歩く。途中で何個か貝殻も拾った。 ▼遙香side せっかくの海なのにあんま楽しめてないのは、きっと僕がいけないんだと思う。 自然と足が人のいない方に向いちゃってるし、みんなを避けてるって思う。 でも…やっぱりまだ怖いんだもん。優しく近づいて、最後は殴るんじゃないかって。 だって…お父さんはそうだったから。生まれてきてくれてありがとうって、言ってたのに…。 『ワンッ』 「っ…わ、犬?」 ビックリしたぁ…真っ黒なわんちゃんが尻尾を振ってこっちを見てたの。 凄く可愛い…救助犬か何かかなぁ? [*前へ][次へ#] [戻る] |