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野次馬の1人が遙香たちでなく、廊下の方を指差した。女の子の歓声が再びあがる。
「……加奈、何、してるの?」
「えっ…あ、あ…理樹…」
「君がハルちゃんに突っかかってるって聞いたんだけど」
「ち、違うのよ…これは…」
慌てて理樹のもとに駆けより、甘ったるい声を出して機嫌をとる。だけどそんなもの理樹には効果なく、ただ加奈を睨み付けた。
「ハルちゃん、大丈夫…?」
「ひっ…や、だ…違う、違うっ!」
「あ、ハルちゃんっ!」
「遙香、待って…!!」
全てのものに怯えてしまっている遙香。理樹が伸ばした手もはたき落とし、カバンを持って飛び出して行ってしまった。その後を幸慈が追う。
(っ…せっかくここまで来たのに…!)
「なんてことしてくれるんだ!!」
「り…理樹…」
「触らないでくれ。…それから、今あったことはみんな忘れるように」
野次馬に向かって言い放つ。すでに何人か携帯を持っていて、ギクリとその手を止めた。
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