10 「だけど…癌になってた」 「それはどこの…?」 「すい臓」 見つかったときにはもう治療が追い付けない状態で、それならじぃちゃんは死ぬまで楽しみたいっていった。 だからすっと家で最後まで…。 アメリカのチームとのことが重なって、俺は人の死というものが怖くなった。 人を失うくらいなら元からなければいいと思った。 そんなとき奈緒たちにあって、母さんも喜んでくれるくらい俺は"普通"を取り戻した。 大好きな母さんが喜べば俺も嬉しい。 その母さんは俺が喜ぶと嬉しいといった。 「大好きで、大好きで…マザコンだって言われてもいいくらい好きだった」 「いい人…………だった」 「うん。ほんとに素敵な母さんだ」 あの日は……俺のために服を買いに行こうとしていてくれたらしい。 そんなことを知る由もない俺はいつも通りに母さんと別れて、colorsのもとへ向かった。 最後にみた、『気をつけるのよ』っていう笑顔は今もすぐ思い出される。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |