4 「人を好きになるのはいいことだ。でも、それを他人に押し付けるのは間違っている。人の話も聞かず、気に入らないやつは消す。…おかしすぎる」 香が話にあげたのは親衛隊のことだった。これから先も涼が無事に過ごせるようにと思って。 「君たちが好きな人にも想う人がいるだろう。それを疎ましく思うのは自分勝手な気持ちだ。そういうやつはこれからも出てくるだろう。 だが涼に手を出すのだけは俺が許さない。分かるか?生徒会として崇めるのではなく普通に接してくれる嬉しさが。俺たちも普通の人間なんだ。だからこそ、涼を好きになった」 香の一言一言をみんなが息を呑んで聞き入る。中には嫉妬をしている人もいるが、初めてそういった気持ちを聞いて反省している人もいた。 「憧れではなく本当に好きな人を見つけて欲しい。以上だ」 ─シーン… 「「……っわぁああぁっ!!」」 湧き上がる拍手と歓声。みんな香の言葉に胸を打たれたようだ。そのまま興奮が冷め止まぬ中、卒業式は終わりを告げた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |