9 「涼、ちょっと立って」 『ん?はい』 素直に言うことをきいた涼を海は自分の膝の上に乗せた。 『えっ、海くん?』 「こうすれば暖かいだろ?」 ビックリしている涼を後ろから抱きしめた。確かに暖かい。暖かいのだが…恥ずかしい。 『ね、海くんは抱っこするのが好きなの?』 恥ずかしさを紛らわすために涼が質問をした。だが返ってきた言葉に、涼は更に顔を真っ赤にして何も考えないようにアイスを食べる。 "涼って抱き心地いいから。ずっとこのままでいたい位" そう耳元で囁かれたのだ。 「ねぇ、シカトですか?俺寂しいな」 しばらく何も喋らない時間が続き、海が涼の肩に顎を乗せて膨れたように言った。 『へ?あ、ごめんね。あまりにもアイスが美味しくて…。海くんももう一口食べる?』 そう言ってアイスがのったスプーンを近づけてきた。そのままパクっと食べた海の機嫌はもうすっかり良くなっていた。そして食べ終わった頃を見計らってこう言うのだ。 「よく考えたら間接キスだな」 [*前へ][次へ#] [戻る] |