海の部屋 秋の暖かい風が吹き渡る今日、涼は海の部屋へ遊びに来ていた。もちろん他の人には内緒だ。 『海くんのお部屋って本がたくさんあるね』 「ああ。あの椅子に座って読むのが好きなんだ」 窓際に置かれた大きなチェアー。そこに座ってメガネをかけて本を読む海の姿が思い浮かぶようで、涼はかっこいいと声をあげた。 「はは、ありがとう。…紅茶しかないがいいか?」 『うんっ…あ、砂糖はたくさん欲しいな…』 「本当に甘党なんだな」 海が持ってきた紅茶に砂糖をドボドボいれていく涼。あまりにたくさん入れるものだから、海は飲んだわけではないのに胸焼けを催した。 『ん、甘ーいっvV』 「そ、それはよかったな…」 『海くんは何も入れないの?よく飲めるね』 それはどっちだ、といいたくなるが涼が凄く尊敬した目で見てくるので、海は笑って返した。 「お菓子はクッキーしかないんだが…食べるか?」 『いいの?食べるーっ』 世話妬きな海。涼以外では絶対にありえないことだ。ただ涼の笑顔がみたいから、だから海はできる限りのことをする。 [次へ#] [戻る] |