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それから色々と回った。大浴場も見たし、食堂もみた。ロビーにあった鹿の剥製を、周りに隠れながら触ったりもした。笑いが絶えないなか、京一はある人物を目にしてしまう。
「げ…あいつら…」
少し先に竜也たちがいるのだ。幸い涼はまだ気づいていない。そして向こうも気づいていないようだ。
「涼、そろそろ外行こうか」
『あ、うん。…んわっ、京ちゃん!?』
ならば今の内に違う場所に逃げてしまおうと考え、手を繋いだまま京一は走り出した。いきなり手を引っ張り、走り出した京一にびっくりしたものの、涼は素直について行く。
『っ、も、無理っ』
「っえ?あ、悪い」
しばらく走っていると余り体力のない涼がねをあげた。いくら見つからない為とは言えやりすぎた、と本当にすまなそうな顔をする京一をみて涼は大丈夫だよ、と答えた。
『はぁっ、はぁっ、び、くりしたけど、楽しかったね』
笑ってそう言ってくれたのだ。
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