[通常モード] [URL送信]

「チッ…よくわかんねぇがよ、こいつ…浅見はお前が好きなんだろ?意味なく、純粋に」

『久先輩…っ、そうだよ?僕、お兄ちゃん大好きだもんっ』

「やめろよ…っ…じゃあこの6年!…お前が生まれてからの俺の人生は何だったんだよ…」


カラン、とナイフを落とし一は大量の涙を流し始めた。涼がそっと一に近づき触れると、少し震えたが抵抗はしない。そのまま自分の中に抱き締めた。


『ふぇっ…お兄ちゃ…ごめ、なさぁ…!!』

「っ…く、そ…!」


「20年で気づけてよかったんじゃないの?」

「英士…」

「人殺す前に、自分死ぬ前に知れてよかったんじゃない?」

「俺もそう思います。…だって6年いなかったのに、ちゃんと部屋あったじゃないですか」

「うぜぇ…けどお袋と親父はいつお前が帰ってきてもいいようにって、残しといったんだよ」


京一と十夜のその言葉で、一は自分がちゃんと愛されていたんだと少しだけ嬉しくなる。今はまだ受け入れることも涼を許すことも出来ないが、周りの見方を少しだけ変えてみようと思った。

[*前へ][次へ#]

30/32ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!