3 「お前が行けばよかったんだ。お前が死なないからこんな」 「なぁ…その苦しみ、味わえよ。許してほしいんだろ?」 その言葉に涼が反応しない訳がない。意味もなく自分が悪いといわれ、でも許してくれるというのだから。 『ど…すればいいのっ?僕、頑張るから…お願い、許してっ』 「死ねよ」 『………え?』 「死ねよ。そしたら許してやる。出来るだろ?許してほしいんだろ?……ごめんなさい、あれは嘘だったのかよ」 『違っ…や、やだ、ごめんなさっ…!!』 「なら死ねよ」 そう言われて涼は大声で泣き出した。一はうるさそうに顔をしかめ、懐からナイフを取り出す。それを見る一の顔は狂気じみていて、ようやくだね、と楽しそうにいった。 『ひっ…や、僕は死にたくないもんっ!!』 「は?死ねよ」 『いやぁあ…っ!僕が何をした、のっ?してないしてない…っ、生まれてきたのが間違いだなんて…言わないでぇっ』 「………」 許しをこう涼に無言で腕を振り下ろす一。その声を十夜たちは聞きつけていたが、その姿はまだ見えない。……もう、間に合わない。 [*前へ][次へ#] [戻る] |