13 でも家に帰ってぬいぐるみを見たとき、数が足りないことに気づいた。その瞬間すべてを思い出したのだ。そのことを誰にもいわず、不安を見せないよう隠してきた。 「それでさっきのが…」 「……一だ。今年帰ってきたんだ」 「もしかして…それで夏休み、帰れなかったのか?」 「ああ。涼をあいつに会わせるわけにはいかねぇ」 会っちゃったけどな…と十夜は自分を責めた。そのままみんな黙り込み、涼は起きることはなかった。……いや、起きていたのだが、それをバラさずにまた寝てしまったのだ。 * * * 『………ん、…』 (あ……お部屋…) 次の日、涼は静かに目を覚ました。昨日のことを考えながらリビングに出ると、そこのソファーに十夜が寝ていた。ずっとついていてくれたのだ。 『ふふっ…十夜かわいーっ』 「ん゙……」 『…いっぱい、ありがとね』 よしよしと頭を撫でて朝食を作る。その後目を覚ました十夜と、心配でやってきたみんなでご飯を食べて学校に行くことになった。涼が何もいわないのでみんなも何もいわない。 [*前へ][次へ#] [戻る] |