10 「…一!なぁ…知ってるんだろう?涼ちゃんどこにいるんだ!?」 「……」 「あなたっ…止めて!」 「一!一!」 「……ど、して……俺?」 涼が消えて8日目、パパは悲しむ様子のない一を問い詰め始めた。それに一は光のない目でパパを見つめる。確かに涼を連れて行ったのは自分だけど、どうして真っ先に疑うのか。 「頼む…涼ちゃんを返してくれ…」 「…んだよ…涼、涼、可愛い涼ちゃん!ウザイ…あんなやついなきゃよかったのに」 ─パシンッ 「……いい加減にしなさい」 「っ…そ、う…いらないのは俺?ははっ…俺が生まれて来なきゃよかった」 ママに叩かれた所を押さえながら一は家を出て行った。別にそんなつもりでいったわけではないのだが、それでようやく一が苦しんでいたことに気づく。 ……と、そこへ近所の子供がやってきた。急いで来たらしく、喋るまでに少し時間がかかってしまう。 「っ…はぁっ……オレ、お兄ちゃん見つけたんだ!!」 「………え?」 「来てよ、お兄ちゃん動かないんだっ」 [*前へ][次へ#] [戻る] |