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『ふぇえーっ!!だ、してっ…怖いよぉ…っ』
ドンドンと閉められた所を叩きながら涼は叫び続ける。だが誰も来ないと分かると、膝を抱えてひたすらないた。
『っえ…ごめんなさっ…。一、兄ちゃ、怖いよっ…暗いよぉ…』
『お、腹空いた……ぅわあぁっ…も、やだよーっ』
『パパ…マ、マ………と…や……』
色んな思いを抱えながら涼は気を失うように眠りについた。その眠りは浅く、そして嫌な夢をみる。ウサギになった自分がハサミで切り刻まれ、たくさんの血を流すのだ。そのたびに涼は叫びながら目を覚ます。
他にもそのウサギが黒く染まっていく夢もみた。白かったのが真っ黒になり、汚いと罵られるのだ。うわ言のようにごめんなさいと繰り返しながらまた次の日を迎える。
「あなた…涼はまだ…」
「っ…涼ちゃん…生きててくれ…!!」
「………どうして?」
「……一?」
「だって家出かもしれないでしょう?」
家では笑顔が消え、パパとママは憔悴しきっていた。もちろん十夜も探し回っているのだが一向に見つかる気配はない。
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