3 瞳は光がないのに、自嘲的に笑う姿は怖いものがある。まるで周りの人は消えてしまったかのように静かになり、十夜の背筋には嫌な汗が流れる。 「そんなやついなければ俺は…」 「はぁ?てめぇが勝手に自分を卑下したんだろ!!」 「可愛い弟…なぜそれの肩を持つ?」 「それじゃねぇ、涼だ」 カツ、カツと近づいてくる一。十夜は涼を自分の後ろに隠し、必死に一に対抗しようとした。力でいけば十夜の方が上なのかもしれない。だが、精神的な面で押されているのだ。 「貸せ」 「嫌だ。……何をするつもりだ」 「壊すんだよ。壊して……この世から消してやる」 「させるかよ!…てめぇこそ消えろ」 「…それがなきゃ誰も俺を…」 ─カツン 来た。一がしゃがめばもう涼に手が届くだろう。そしてもちろん彼はそれを実行しようとした。 「っ…触んな!!」 「そこ、動かないで」 「………………」 十夜の声に少し高めの声が重なった。事態を聞きつけやってきた英士たちだ。顔は至って冷静だが、内心焦りまくりだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |