8 「え、涼!?」 『もっ、違う人借りるもん!!』 ぷくっと頬を膨らます姿が遠ざかっていく。涼はすぐ近くにいた人にお願いをし、ゴールへ走っていってしまった。その後を追えるのは海しかいない。悔しそうに唇を噛み締め、海は拓海と走っていった。 「僕の借り物……いえ、ご主人様の海様ですっ」 「本当ですか?」 「は?違う、離せ」 「ざんねーん!もう一度借りてきて下さい」 「そんなぁ…っ」 拓海は目に涙を溜める。…が、そんなものを気にしない海は涼のもとへ近寄った。知らない、しかもガラの悪いのを選んでしまった涼はその人に絡まれていた。 『や、ぁ…』 「姫抱き心地さいこー」 『うぅ…海くんっ』 その人に後ろから抱き締められ、涼は前からやって来る海に腕を伸ばした。それをみた海は頭に血がのぼり、男の腕を取って締め付ける。 「二度と涼に触るな」 『ふぇ…こ、わかったぁ』 「…涼、心配させるな」 『ん…ごめんなさい』 [*前へ][次へ#] [戻る] |