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「え、涼!?」

『もっ、違う人借りるもん!!』


ぷくっと頬を膨らます姿が遠ざかっていく。涼はすぐ近くにいた人にお願いをし、ゴールへ走っていってしまった。その後を追えるのは海しかいない。悔しそうに唇を噛み締め、海は拓海と走っていった。


「僕の借り物……いえ、ご主人様の海様ですっ」

「本当ですか?」

「は?違う、離せ」

「ざんねーん!もう一度借りてきて下さい」

「そんなぁ…っ」


拓海は目に涙を溜める。…が、そんなものを気にしない海は涼のもとへ近寄った。知らない、しかもガラの悪いのを選んでしまった涼はその人に絡まれていた。


『や、ぁ…』

「姫抱き心地さいこー」

『うぅ…海くんっ』


その人に後ろから抱き締められ、涼は前からやって来る海に腕を伸ばした。それをみた海は頭に血がのぼり、男の腕を取って締め付ける。


「二度と涼に触るな」

『ふぇ…こ、わかったぁ』

「…涼、心配させるな」

『ん…ごめんなさい』

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