10 「お盆、楽しみにしてたっていってた」 『っ…ふぇぇ……やぁぁあっ…!!』 「涼…」 たとえ一回しか会ったことがなくても知り合いに変わりなく、そして"死"というものを初めて実感した。恐怖と寂しさから涼の涙は止まらなく、しばらく涼の泣き声が辺りに響いていた。 「………落ち着いたか?」 『ん……も、だいじょぶ』 「そっか…。ツラいな、人が亡くなるって…」 『うん。…でも、でもね、僕…その分生きてることに感謝した!』 「感謝?」 『今があることに、感謝っ』 涼なりに何かを感じとったのだろう。目を真っ赤にしながらも涼は微笑み、力強く立ち上がった。 『ただいま十夜』 「お……あ゙?涼…泣いたのか!?」 『え?ぁ…うん、ちょっと』 部屋に入って出迎えてきた十夜は鋭かった。ここに来るまでに目は冷やしてきたのだが、それでもまだ腫れていたらしく、それを見つけた十夜は一緒にいた京一の胸ぐらを掴みあげる。 「てめぇ…涼に何してんだゴラ」 「は?……や、別に…」 「別に、だぁ?ざけんじゃねぇっ!!」 [*前へ][次へ#] [戻る] |