5 まるで脅迫状のように新聞の切り抜きで作られたその手紙。周りは"消えろ"の文字が赤でフレームのように綴られていた。 自然と嫌な汗が流れ出し、手紙を持つ手が震えてしまう。でも…十夜にバレてはいけない。 (一、兄…ちゃっ……) 「………ぅ………りょ………………涼!」 ─ビクッ!! 「おい…おかしいぞ。何だよ」 『な、何でもないって……そ、そのDVDは何だったの?』 「あ゙?あぁ……こっちこい」 手を引かれてテレビの前まで連れて行かれる。涼は手紙をソファーの下に隠した。そしてセットしたDVDから流れてきたのは…、 『わぁっ…パパ!ママーッ!』 《おい、ちゃんと撮れてるのか?ママ、どうだい?》 《撮れてるわよ…もう。これ全部ね》 《なにっ!?あーあー…ん゙んっ。涼ちゃん?パパでーす》 パパママからのホームビデオだった。家で撮ったのかは分からないが、とにかく場所が分からないよう真っ白な壁の前に立ち、カメラに向かって話しかけている。 [*前へ][次へ#] [戻る] |