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そして顔を洗いにいって戻ってきてから、十夜は再びあの話を持ち出した。


「………諦めれたか?」

『っ…や』

「はぁ…お袋たちに迷惑かけてぇのかよ」

『だって……』


やっぱり無理。そこで十夜は最終手段に出ることにした。


「弟の俺は我慢してんのに"お兄ちゃん"はわがままだな。"お兄ちゃん"なのに」


─ピクッ…


「…なぁ?お・兄・ちゃん?」

『ゔー…ワガママ言ってないもん!我慢するもんっ!お兄ちゃんだもんっ』

「……………言ったな?」

『ぇあっ?………あぅ…』


まんまとはめられてしまった涼。こういうときだけお兄ちゃんと呼び、涼を誘導するような話し方をするのだ。弟に出来て兄に出来ないのか、と。

そしてなんとか涼を説得することに成功した十夜は、涼を連れて食堂へ向かった。



「……あ、そうだ涼。もうすぐ夏休みだけどさ、涼はやっぱ帰るの?」

((ヤバい…))

『…い、いえ。今年は残ります』


英士の質問に気の抜けた、少し寂しそうな笑顔で答えた涼。その意外な答えにみんなが反応した。

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あきゅろす。
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