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それだけ言うと十夜はドアに体当たりを始めた。ここまで焦っている十夜に京一も焦りが募り、マルクを急かした。


『誰かっ…やだぁあっ!!お、兄ちゃ…っ、出してよっ…!』

「涼!…涼!くっそ…早くっ…」


─ガチャッ


「「あ」」

「その懐中電灯貸せ!!」


京一の持っていたそれを奪い、十夜は慌てて入っていく。そこには涙で顔を濡らし、小さく縮こまっている涼がいた。ちゃんと涼に明かりが当たるように床に置き、十夜はそっと抱き締めた。


「涼…俺だ、分かるか?」

『うわぁぁあっ……ひくっ…やだよぉっ…誰か、誰っ…かぁ!!』

「俺がいるだろ。ほら……目、見ろ」

『うぁっ……ん、…と…ゃ?』

「ああ」

『とーやぁっ!!うわぁーんっ怖かった…暗いの、やだぁっ』


涼の瞳が十夜を捉えると、すがりつくように十夜に抱きついた。暗い中駆けつけたマルクと京一はその様子に驚くしかない。

まるであやし方が決まっているかのように十夜は涼を抱き締め、目から溢れている涙を舐めとる。そして耳元で何度も大丈夫だと囁いていた。こんな十夜は涼がいなければ見れない。

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