2 それだけ言うと十夜はドアに体当たりを始めた。ここまで焦っている十夜に京一も焦りが募り、マルクを急かした。 『誰かっ…やだぁあっ!!お、兄ちゃ…っ、出してよっ…!』 「涼!…涼!くっそ…早くっ…」 ─ガチャッ 「「あ」」 「その懐中電灯貸せ!!」 京一の持っていたそれを奪い、十夜は慌てて入っていく。そこには涙で顔を濡らし、小さく縮こまっている涼がいた。ちゃんと涼に明かりが当たるように床に置き、十夜はそっと抱き締めた。 「涼…俺だ、分かるか?」 『うわぁぁあっ……ひくっ…やだよぉっ…誰か、誰っ…かぁ!!』 「俺がいるだろ。ほら……目、見ろ」 『うぁっ……ん、…と…ゃ?』 「ああ」 『とーやぁっ!!うわぁーんっ怖かった…暗いの、やだぁっ』 涼の瞳が十夜を捉えると、すがりつくように十夜に抱きついた。暗い中駆けつけたマルクと京一はその様子に驚くしかない。 まるであやし方が決まっているかのように十夜は涼を抱き締め、目から溢れている涙を舐めとる。そして耳元で何度も大丈夫だと囁いていた。こんな十夜は涼がいなければ見れない。 [*前へ][次へ#] [戻る] |