7 まるでいい気味だといわんばかりに周りは笑い出した。それを聞いた涼は少し泣きそうな顔をしてマルクをトンッと押す。 「……?」 『よ、汚れちゃうよっ。えと…僕着替えてくる!』 「リョウ!」 『んわっ!?』 走り出した涼。だけどすぐ誰かにぶつかり、鼻を押さえながら顔をみた。 『あ…英士先輩』 「涼?これ…どうしたの?」 『えと、誰か転んじゃったみたいで。あの、汚れちゃいますよ?』 「……許せない…」 わざとじゃないと信じて疑わない涼を英士は抱き寄せ、いままで涼がいた方を睨む。他の人も集まってきて同じようにして睨むと、そこにいた人たちは顔を青くして散らばっていった。 「とにかく着替えをしよう」 「予備…なんかあったかな…」 『あの、もう大丈夫ですよ。お部屋戻るし…』 「なら俺も戻ろうかな」 『え、京ちゃん?』 涼がいなければ意味がない、とでもいうように京一がいうと、みんながそれに同意した。慌てふためく涼を連れ、主役のマルクと共にみんなは部屋へ戻っていった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |