2 そんな涼を海は見つめ、しばらくの間そこに穏やかな時間が流れた…。 * * * 「……涼、……涼」 『んん……すぅ…』 「あー……しょうがない」 やっとホテルについたというのに涼は全く起きる気配を見せない。海は仕方なくお姫様抱っこで涼を連れ出し、クラスの所へ並んだ。 「ちょっ、何やってんだよ!!」 「うるさい。涼が起きる」 「あ……でも起こしゃあいいじゃん!」 「起きなかったんだバカ」 「うーわーバカ言ったし!つか役員じゃねーのかよ」 「………………チッ」 「!?」 静かにしろといっても黙らない陸に海は小さく舌打ちをした。それで陸は押し黙るが、今度は前に出て挨拶をしていた英士がそれに気づく。 「ちょっと、涼に何してんの」 「抱いてるだけです。静かに進めてくれませんかね」 「なっ…相変わらず生意気な」 「お褒めの言葉ありがとうございます」 せっかくのペアだというのにまたもや火花を散らす2人。他の生徒は唖然としてしまうが、そのうるささにようやく涼が起きた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |