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『ここ、座って下さい』

「は?ふざけんな。俺はもう行く」

『え…やっ!お願いです…っ』

「………………はぁ……」

さすがの久も涼の甘い誘惑には勝てなかったようだ。盛大な溜め息をつきながら涼に勧められた椅子に座った。そんな久の行動にみんなが驚いていると、涼が久の分のチョコを取り出して本人に渡す。

「あ゙?んだこれ…」

『チョコです!今日バレンタインなので…』

「いらねーし」

『うぇ…そんなことっ…言わないで下さい』

「…………チッ、甘いの嫌いなんだよ」

『あ、そうだと思って苦めの作ってみました!』

「……………………」

用意周到な涼。すぐに食べてもらいたくて勝手に包みをといてチョコを取り出した。久もみんなもどうするのだろうと見ていると、チョコを一つ取ってそれを久の口元へ近づけてきた。

『どーぞっ』

「…………………」

『もう、口開けて下さいよー』

「…………………」

前に一度アイスを無理やり口に突っ込まれたことがある久。意地でも口を開かず、涼とは反対の方を向いた。

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