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苦しそうに胸を押さえている彼は、実は候補者が放った刺客だ。手荒なことは危ないが演説には出したくない。だから終わるまでの足止めというわけだ。
「ト、トイレ…連れてってくれますか…」
『あ、はいっ。肩貸します』
そういって涼はその人に肩を貸した。おぼつかない足取りでまたトイレへ戻る。その間に会計の演説が終了し、書記の候補者が呼ばれているとも知らずに…。
「京一、涼は…?」
「海、お疲れ。…それがトイレ行ったまま…」
「大丈夫なのか?」
「…ヤバい?」
なかなか帰ってこない涼を京一は緊張しているんだと思い込んでいた。だが海に言われ、最悪の事態になってるんじゃないかと考える。とりあえず京一は演説があるため体育館に向かい、海が涼を探すことになった。
まずはトイレを探す。だけどどこにも涼の姿はなく、海の焦りは大きくなる。
実は海が探しにくる少し前、具合が悪いと嘘をついていた子が寮に戻りたいと言い出したのだ。だけど一人では歩けない…という嘘をつき、涼と一緒に寮へ向かっていた。
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