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『う…ん。ありがとうっ!へへへっ……ってあれ?斉藤先輩?』
「「ん?」」
「「あ」」
英「泣いてるしー!」
「み、みぃひんでぇーっ!!」
なんと話を聞いていた元太が竜也たちの美しい友情に涙を流していたのだ。ボロボロ涙を流し、鼻をズビズビいわせながら服の裾で涙を拭っていた。
なんとも情けない光景だが、先ほどまでの空気が一掃されている。
「ははは、元が泣いてるー」
『ちょっと英士先輩!からかわないであげて下さい』
元太を指差して笑う英士を涼が咎める。すると英士は止まり、元太は顔を赤らめる。
しばらくは元太が泣き止むまで違う話をしていたのだが、ふとこう言ってきた。
「ええね、友達って」
『んっ?』
「羨ましいわ」
自分にはそんな友達がいないから。そんな意味を込めて言えば、
『えっ…僕たちは違うんですか?』
と涼が少し悲しそうに言ってきた。もう自分たちは友達じゃないのかと。それを聞いた元太はまた泣き出してしまう。
そんなこと言われたのは初めてで、みんなもそれに頷いてくれて。18年目にしてやっとたくさんの友達を作ることが出来た。
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