3 ─"消えろ、消えろ" 『嫌だああっ…!ごめんなさっ…い!あっ…ん、やだぁ』 肌を触る感覚に震えながらも、殴られるのではないかと考えてしまう。それでも泣いていても感じている涼に、男は気をよくして行為を続けていく。 ─そのとき、扉の開く音がそこに響いた。薄暗い中に光が差し込む。 「…ははっ…ねーえ、何やっちゃってんのー?俺も混ぜてよー」 「…ああ?」 『ぇ…あ…助けてっ!こっから出してー!』 そこに立っていたのは竜也。しかしいつもの優しい彼ではなく、もう1人のイっちゃってるときの竜也だ。 どうやら今回は人を傷つけるのではなく自分を傷つけたようで、左手首からボタボタと血が流れ落ちていた。自分の意識がない中でも、涼の声を聞きつけ、知らない間にここへ来ていたようだ。 『ああああーっ…だし、出してっ!ごめん、なさっ…一兄ちゃっ…!!』 「てめぇ…出てけよ」 「ふははっ…怒ってるのー?俺も俺も…コラー!血ぃ流れとんのかテメェ…」 「っひ…」 [*前へ][次へ#] [戻る] |