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「…こういうの初めてだったか?」

『………ん』

「そうか。悪かった」

こくっと頷いた涼をみて海はホッとした。…だが涼が忘れているだけで初めてではないのだ。この場で海が知っていたら、英士がやったことだけでは済まなかっただろう。

そしてやっと落ち着いた涼は再び海の本を漁っていた。意外なことに中には漫画もあり、涼は興味津々でそれを見ていた。…すると、

─ピンポーン

『んっ?お客さんだ』

「…ああ、ちょっと待っててくれ」

まるで2人の邪魔をするように部屋の中にチャイムが鳴り響いた。警戒しながら扉を開けるとそこにいたのは…、

「おっ兄ちゃーん!遊びに来てやったぜー」

なぜかとても上機嫌な陸だった。

「俺に弟はいない。帰れ」

「ひどーい、僕ちん泣いちゃうよぉっ…」

「泣け」

「ガガーン!!俺、ショック」

一人そこで落ち込んでいる陸を残し、海は部屋に戻った。…するとなぜかそこにいる陸の姿。いつの間に…と感心する暇もなく、海は涼から陸を引き剥がそうとする。

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