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ちょっと心の揺らいだ涼を連れ、陸は5組の前までやってきた。そこには少し長めの列が出来ていて、出てくる人は怖かったー…と言いながら出てくる。
そして並んで待っている間も。時折中から悲鳴が聞こえてくるのだ。それがさらに涼の恐怖感を煽る。
『っぅ…ね、陸ちん。やっぱ…』
「お、ほら入るぞ」
『…うぅー手、離さないでね…』
(ヤッベ可愛い…!)
怖がって手を繋いでくる涼は本当に幼くて、同い年で男なのかと疑ってしまうほどだ。
『うぇー陸ちんちゃんといる…?』
「いるだろここに」
手を繋いでいても不安になる。そこが暗闇だからなおさらだ。手を握る力を強め、陸に擦りよる。そうすると陸が落ち着かせるように頭を撫でてくれるのだ。
─「うらめしやぁあ!!」
『ひっ…やーっ!!やだーっ』
「う、お、おい涼!?」
血みどろのお化けにふんした人が出てきた。涼はそれに驚き陸にしがみつく。どうやら泣いているようだ。
「ほら、大丈夫だから」
『こあ…い…っ』
陸に抱きかかえられながら進んでいく間も、涼はずっと泣いていた。そこまで怖がられている姿を見てしまえば、脅かす側も気が引けてしまう。
ごめんなさい…と言いながらお化けは下がっていった。
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