2
『いっ…た…』
まだ荷解きがされていないガランとした部屋に涼の声が響いた。英士は涼の手を取り、涼の頭の上に組み伏せる。
「ねぇ…僕は誰?」
『へぇっ?…英士…先輩…?』
突然の訳の分からない質問に答える涼。ただただ手を離して欲しくて、普通に話をして欲しくて、一生懸命目で訴える。そんな姿は英士を煽るものでしかないのに。
「あぁ…そんな顔しても駄目だよ。てかむしろ泣きなよ。ははっ、ねぇ涼はさ、僕のことどういう風に見てるの?ねぇ涼」
『ど、どうって…優しいです。今はちょっとビックリしてますけど…』
「優しい?今の僕でも?まだあってから少ししかたってないのに?」
これは…いわゆる言葉責めだ。涼も半泣き状態になっている。
『あぅ…そうなんですけど…でも優しいんです!!僕がそう決めました!』
「は?何その自分定義。あーやっぱ涼はお馬鹿さんなのかな?」
『うーバカじゃないもんっ!!』
自分の発言がバカにされたことに気づくと、涼は大声で否定した。それに伴って涙も溢れてくる。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!