誕生日会 そして当日。 「でもさぁ、まさか僕たちがあの赤いのを祝うとは思わなかったよね」 「ああ。涼がいなければ無かったな」 一足早く集まっていた英士と香がこんな会話をしていた。生徒会以外とは関わりを持たなかったし、自分たちで誕生日会をするなんてことは無かった。涼がいなければみんなは出会わなかったのだ。 「あ、おはようございます」 そんな所へ大地がやってきた。元太も一緒だ。よくよく考えればこの2人だってこういった友達を持つのは始めてだろう。 病気がちで遊びに誘われることの無かった大地と、今まで1人だった元太。それに今来た京一だって良達以外と遊ぶ事など無かったのだ。 「ねぇ黒いのさ、荷物多くない?」 「…まぁ…そうですね」 「何で?」 「何でもいいじゃないですか」 そう言って京一は無理やり会話を終わらせた。…泊まるため、とは知られたくないのだ。今言えばみんな何を言い出すか分かったもんじゃない。だからあえて分かるまで黙っていることにした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |