[携帯モード] [URL送信]

もうこれ以上ないというほど目を輝かせ、中へ入っていく涼に海はただついていくことしか出来ずにいた。ここまで来ると海は涼のテンションについて行けないのだ。

『海くん!真っ白いうさぎさんっ』

涼が白いうさぎを一羽抱き上げ、海のもとへ近寄ってきた。うさぎは逃げることもせず、むしろ涼に懐いているかのようだ。首筋あたりをフンフンと臭いを嗅いでいる。

『ひゃっ、くすぐっ…た!ふふふっ、やはっ』

「…涼は本当に可愛いな。そいつみたいだ」

と言って海が白いうさぎを指差した。その途端、涼の動きが止まる。

『…僕は…このうさぎさんみたい?』

「え、ああ」

『真っ、白…?』

何かを求めてくるような涼の瞳。その瞳に吸い込まれそうになりながら、海は今一番に思ったことを言った。

「ああ。涼は真っ白だ。綺麗な純白。…凄く、綺麗だと思う」

まだ何色にも染まってない純粋な涼。自分は染まらずにみんなの中へ少しずつ入ってくるのだ。その人の持っている色を薄めてくれる、優しい色に変えてくれる。そんな白。

[*前へ][次へ#]

21/123ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!