3
「でっ!?…誰だうちの涼ちゃんをたぶらかす奴はー!!」
『パパッ!…たぶらかすってなぁに?』
そんなことはいいんだよーと簡単に流されてしまうが、パパは流れていってくれなかった。
「じゃあさ、今日はパパとデートしよう!」
『パパと!?行くーっ』
とろけてしまいそうな笑顔で了承を得たパパは、鼻血を出しながら出かける準備を始めた。と言っても服を着替え、小銭を持つだけなのだが。
ってことでやって来ました"みんなの広場"。ここには青々とした芝が広がる野原、遊具が充実した公園、ドッグランが揃っている。昔からよく散歩としてここに来ているのだ。
『あつーいっ!でも風が気持ちーっ!』
「転ぶなよー」
広場に入るなり走り出した涼。その後をパパが笑いながら追いかけるが、予想していた通り涼が転けた。
『っう…痛、い。ふぇ…』
「ああっ、走るからだろ。ほら、痛いの痛いの飛んでけー!!」
涼が打った膝に手を当てながらおまじないをかけるパパ。だがよほど痛かったのか、まだ泣き続けている。"あっち"のおまじないを…と思い、顔を近づけたとき、
「ワンッ」
という鳴き声と共に犬の舌が涼の涙を拭った。
『にっ!?ふははっ、くすぐっ…た』
「ワンワンッ」
すっかり泣き止んだ涼。今度は犬と戯れ始めた。すると、犬が来た方から飼い主が走ってくる。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!