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それから約2時間は3人で涼の学園について話をした。今まで会えなかった分、いっぱい甘えた。……と、ここで一つ気づく。
『十夜は?』
「ん?ああ十夜なら合宿に行っている。夏休みはないそうだ」
パパ寂しいよーと嘆きながら教えてくれた。
『そっか…。会いたかったなぁ』
十夜とは涼の弟のことだ。どうやら今はいないらしい。夏休みを捨ててまで勉強に励むような人では無かったのに…。だが、この答えを知るのはもう少し先のこととなる。
その後は久々のママの手料理を食べ、パパと一緒にお風呂に入って眠りについた。喋り疲れていたのか、吐息が聞こえてきたのはすぐだった。
「可愛い寝顔だなー」
「そうね…。でもさっき抱き上げたとき、すごく軽かったのよ」
「でもしっかり食べてただろ?」
「ええ。うまくやっていけてるようだし…」
「親が思うほど子供じゃ無いのかもな…」
「そうね。少なくともあなたよりはいい子だわ」
「ぐさっ!今ぐさって何かが刺さったよー」
「あっそ。…でも来年はどうしましょう」
「…そのとき、考えよう」
そう言って涼の頬にキスを落とし、2人は出て行った。
来年……そう。来年になれば"一"が帰ってくるのだ──。
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