香の不機嫌
その日のお昼、みんなで食べていると生徒会の人たちがみんなそろってやってきた。
『あ、皆さんこんにちは』
「こんにちはーって違うよ涼。昨日の僕の話聞いてなかったの？」
『話…？』
"竜也が帰ってきたら生徒会室に"
そう伝えるように言われていたのにすっかり忘れていたのだ。まぁあんなことがあれば無理もないのだが。
『あの、ごめんなさ…』
「まぁ別にいいよ。…で、君」
そう言って英士は竜也に向き直る。だが英士が先に話す前に竜也が謝ってきた。
「無断外出してスミマセンでした」
「…え、あ、分かってんだ」
「なら話は早い。罰は放課後一週間補習を受けることだ。以上」
「ちょっ、待ってよ！」
香が処罰を言い渡すと、また戻っていってしまった。英士たちはこのまま一緒にお昼のつもりだったので、納得いかない顔でついて行った。
一方竜也はこれだけで済んだことに驚いていた。停学位は覚悟していたのに、一週間の補習で済んだ。少し複雑な気持ちだが、ありがたく受けることにした。
「ねぇ、なんで一緒に食べなかったの？」
「まだ他に仕事が残っているだろう」
「そうだけどさー、せっかく会えたのに」
「なら戻ればいい。俺は遠慮する」
食堂をでて生徒会室へ向かう間、香と英士はずっと話をしていた。いつもの香で無い気がする。もしかしたら…、
「親睦会で涼となんかあったとか」
「……」
図星だ。黙り込んでしまった香にそれ以上聞くことはせず、みんなは仕事を始めた。
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