プロローグ
『はわぁ……おっきい』
もともと大きい門の前、そこに似合わぬ一人の少年が立っていた。金色の柔らかな髪に大きな青い瞳。まるで天使が目の前にいるようだ。
だが学園を前にして怖じ気付いてしまったのだろう、大きな目には涙が溜まってきている。その今にも泣きそうな少年、浅見涼がこの学園に通わなければ行けなくなった理由は今からほんの数日前にさかのぼる…。
* * *
「ただいま涼ちゃーん!!」
『おかえりパパァ!』
そう言って涼はパパに抱きついた。浅見家ではこれが普通の挨拶。涼はパパが大好きだし、パパも超が付くほど親バカだし。
3人兄弟の次男として浅見家に生まれた涼。長男と三男は父親に似てとてもカッコいいのだが、涼だけは母親似で可愛く育ったのだ。
女の子が欲しかったパパは涼を誰よりも可愛がった。まぁ…その結果涼は甘えん坊に育ってしまったのだが。
しかし、キャッキャとはしゃぐ涼とパパを横で眺めていたママが言った一言が、このあとの涼の運命を変えることになる。
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