15 ボールを取り損ね、アウトになってしまった。 「まじかよ…。くそー涼!!ムチャはダメだからな」 そう言って陸はコートの外へ出て行った。 1人vs5人。 しかも残っているのは涼だ。もう勝ち負けはいいから無事でいてくれと、クラスの人は心配の目で見ている。──が、涼だけは違った。 『よーし陸ちん、後は任せてっ。僕頑張るから』 そう言って5組をしっかりと見据えた。今、ボールは涼の手にある。1人狙いを定めて…、 『てぇい!!』 あぁ…何とも言えないひょろひょろなボール。でもそんな健気な様子にやられ、狙われた人はボールを取ることが出来なかった。 1vs4 そのまま横にいた人がボールをとり、涼めがけて投げつけようとした。 「くっ…」 だがその人もまた、涼の姿に負け、転がすような形で投げた。それを取った涼はその人に向かって投げ、またしてもアウトになった。 1vs3 「何やってんだ情けねぇ!!こんなやつさっさとアウトに…」 そこまで言ってその人はボールを落とした。涼が、怒鳴った恐怖に少し涙目になりこちらを見ていたのだ。コロコロと転がったボールは外野へたどり着き、陸が決めた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |