3
「か、かわい…っ」
「作ったかいがあるよ、ありがとう紅葉」
「(フルフル!)っ…ぁ、(あ り が と うっ)」
「っ……うん」
「オレ、も…」
蓮見も、紅葉が食べていたハンバーグを口に頬張り、僅かだが目を見開いた。厳つい不良だが味覚はお子様な蓮見、その口にあったのだろう。特に何もいわなかったが、紅葉同様お皿にたくさん盛り、黙々と食べ進めていた。
方や不良がひたすら食べ続け、方や小さな男の子が口をいっぱいにしてずっと笑みを浮かべている。菖蒲はそんな2人を見て、心底嬉しそうに笑顔を浮かべた。
「……あ、紅葉…もう、急いで食べるから口の周り汚れちゃってる。ちょっと動かないでね…」
「っ…ふ、(ペコッ)」
「蓮見も、紅葉の分のことも考えて食べてよ…って、蓮見まで…」
「……あ?」
あ?なんてちょっと睨み返してくる蓮見だが、その口の端にはマヨネーズがちょこん、と。それを見た菖蒲はさすがに取りはしなかったものの、ついてる、と注意した。
チッ、と舌打ちをして口元へ手を伸ばす蓮見。だがそれよりも早く、小さな手が蓮見の口元に触れ、離れていった。
「……ふふっ」
「っ、モ…ミ、ジ…!///」
(ハーちゃんも慌てん坊さんやね)
――ペロッ
「「な…っ!?」」
「…?」
驚く2人に首を傾げる紅葉。…紅葉は、なんの迷いもなく手についたマヨネーズを舐めとったのだ。蓮見は顔を真っ赤にし、菖蒲はため息をつく。その無自覚の行動は、この学園では危ないのに…。
とまぁ色々あったが、お弁当も食べ終え、トランプもし終わった3人は今、シートの上で横になっていた。
見えるのは満開の桜に、その隙間から覗く青空。穏やかな時間に3人は少しウトウトとしだしていた…。
「ね、む…」
「僕も…ふぁ、」
「(ふぁ…っ、んぅ…)」
欠伸が蓮見から菖蒲、紅葉へと移っていく。紅葉は目をコシコシと擦りながら、手を上へ伸ばした。落ちてくる花びらを掴もうと手を動かす様子に、菖蒲と蓮見は小さく微笑む。
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