2 ピカーン!と音がしそうなほど見事な快晴。朝からコンビニへ買い物にいった紅葉はもうテンションが高く、蓮見でさえも少し呆れてしまうほどで。 そこへお弁当を持って菖蒲がやってきたものだから、さらにテンションのあがった紅葉に菖蒲も苦笑を漏らした。現在の時刻は11:30、楽しい楽しいお花見の始まりです。 「んーいつ見ても綺麗だよね…」 「っ…(コクッ)!」 「モ、ミジ…どこ、座る?」 「(えーっと)…」 幸いというべきか、寂しいことにというべきか。他にお花見をしようと考える人はいないらしく、パッと見た感じでは人がいる様子はなかった。 紅葉はあたりをキョロキョロと見回し、1本の少し大きな桜を選び、通路側ではなく森の中にシートを敷いてそこで食べることにした。シートの上に3人で座り、少し早いが菖蒲お手製のお弁当を広げる。 「っ、(わぁ…!)」 「……ぐ、じょぶ…アヤメ」 「あはは…やめてよ、そんな大したことしてないし…」 (お、美味しそう…っ、すごぉい!) 一口大の、中身が様々なサンドイッチに、俵の形をした小さめのおにぎり。ハンバーグにウィンナー、卵焼きはもちろん、ちゃんと栄養バランスも考えてトマトなど野菜も入っている。 それらを菖蒲1人で作ったことも凄いが、その彩りがとても綺麗だった。ちゃんと考えて作られているのが分かるが、菖蒲は少し頬を赤くして謙遜するだけ。もっと自慢していいのに…と紅葉は思った。 「はい、お皿。たくさん食べてね」 「(コク!)」 「……モミジ、かわ…い」 「ほら蓮見も。好き嫌いしないでちゃんと食べてよ」 「………」 「………はぁ」 返答なし。蓮見の目はずっと紅葉に向いていて、菖蒲はため息をつきながらも自分の分をお皿に取り分けた。紅葉のお皿には、全種類1つずつ乗っていて、目はいまだキラキラとお弁当を見つめている。 そしてハンバーグをパクリ。小さくてもしっかり肉汁も出てくるそれに、紅葉はふにゃあ…とした笑顔を浮かべ、ほっぺを押さえた。恐らく、『ほっぺが落ちるほど美味しい』といっているのだろう。 [*前へ][次へ#] [戻る] |