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瑛魂学園の校舎と寮を結ぶ一本道。その道は、春になると淡いピンクで彩られる桜並木道だ。ちょうど見事を迎え、登下校では桜を見て立ち止まる者も少なくはない。
男である彼らが思わず立ち止まって感心してしまうほどの桜だ、…紅葉がなんの興味も示さないわけがなかった。
――トントン
「…ん?どうしたの紅葉」
【明日、暇?】
「暇」
「僕も空いてるよ」
【じゃあお花見、しよっ?】
金曜日の夜、部屋でくつろいでいた菖蒲たちに、紅葉はそう打った携帯の画面を見せた。ニコニコの笑顔で見つめてくる紅葉。2人の返事はもちろん…、
「………す、る」
「うんいいよ。せっかくあんな綺麗な桜が近くにあるんだもんね」
「っ…(パァア)」
「ふふ、じゃあ色々と準備しないとね」
(えへへっ、3人でお花見やーっ)
満面の笑みを浮かべる紅葉を、蓮見が可愛いといって抱き寄せ、菖蒲はテレビのチャンネルを変えて天気予報を確認する。喜ばしいことに明日は快晴。あとは、お花見をするのに必要なものを用意するだけだ。
といっても近場も近場。何かあればとりに戻ればいいのだが、やはりするなら違うとこへいった気分で楽しみたい。
「……そうだ、お弁当も作ってこっか」
「! (ホンマッ?)」
「大したものは作れないけど、よければ作るよ」
「っ…、」
【食べたい!アヤちゃんのお弁当食べたいっ】
「ありがと。じゃあ明日、楽しみにしててね?」
「(コクコクッ)」
菖蒲の作る料理は、本当に美味しいのだ。それをよく知ってる紅葉と蓮見は断るなんてバカなことはせず、お願いしますと小さく頭を下げた。それに伴い、他のものの用意は紅葉たちが買って出た。
レジャーシートに飲み物。お皿やコップは菖蒲の方で一緒に用意してくれるらしく、ならばと紅葉はお菓子も買っていこうかなと考えた。他にも、トランプや小さなボールがあれば尚いい。
(若ちゃんのピクニックセットがあればええのになぁ…)
全てがまとまったセット。それを思い出して少し気持ちは落ち込んでしまったものの、明日のことを考えて紅葉は終始笑顔を浮かべていた。
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