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たまには、誰かに甘えたくなる。

たまには、兄弟水入らずで一緒にいたくなる。

たまには、出掛けずにのんびりしたくなる。




たまには…。




『ねぇ十夜ぁ…このね、DVD…一緒に見よ?』

「あ?アニメじゃねぇか」

『むぅ…面白いもんっ』

「ったく……しょうがねぇな」

『わーいっ、やった!』


仕方ない、というわりには嬉しそうにOKしてくれた十夜に、涼も喜びながら一緒にソファーに座る。DVDをセットすると流れ出す愉快な曲に、涼は体を揺らしながら一緒に歌う。

その様子を真横で見ていた十夜は目を細め、小さく笑った。


『あ、今笑ったでしょっ!?』

「いや。…お、始まるぜ?」

『もうっ…あ、ねぇねぇ…こうしてて、い?』

「っ…!?お、おぅ///」


ピッタリと横に座り、十夜の手を握る。体もいささか十夜に寄りかかっている所があり、すぐ近くからする涼の甘い匂いに十夜は顔を赤らめた。

心臓がうるさい。
アニメなんて、全く頭に入ってこない。


『ふふっ…、…わぁっ!見た?今のっ』

「え?あ……あ゙?」

『……もー十夜のバカチン。アニメ見ない人にはこうしちゃうんだからっ』


そういって涼がしてきたのは…こちょこちょ。十夜の脇をこちょこちょと小さな手で攻撃するが、そんなもの全く効いていない。なかなか反応しない十夜に飽きたのか、またアニメを見出した。けど…、


「ここ座れよ」

『えっ…そ、そこ?』

「ああ、アニメ見てなかったお仕置きだ」

『むぅ…お、重くてもしらないからっ』


─ちょこん

(ふっ…ちっせぇ…)


涼が座らされたのは十夜の膝の上。お姫様抱っこに近い状態で座らされ、涼は十夜の服を掴んで体を安定させた。弟だというのに兄をすっぽり包んでしまう大きな体。暖かくてなんだか安心する。


─チュッ、チュ…


『っ…や、十夜!止めてっ』

「涼はアニメ見てていいぜ?」

『でも…なんかくすぐったいし恥ずかし…っ』

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