1 たまには、誰かに甘えたくなる。 たまには、兄弟水入らずで一緒にいたくなる。 たまには、出掛けずにのんびりしたくなる。 たまには…。 『ねぇ十夜ぁ…このね、DVD…一緒に見よ?』 「あ?アニメじゃねぇか」 『むぅ…面白いもんっ』 「ったく……しょうがねぇな」 『わーいっ、やった!』 仕方ない、というわりには嬉しそうにOKしてくれた十夜に、涼も喜びながら一緒にソファーに座る。DVDをセットすると流れ出す愉快な曲に、涼は体を揺らしながら一緒に歌う。 その様子を真横で見ていた十夜は目を細め、小さく笑った。 『あ、今笑ったでしょっ!?』 「いや。…お、始まるぜ?」 『もうっ…あ、ねぇねぇ…こうしてて、い?』 「っ…!?お、おぅ///」 ピッタリと横に座り、十夜の手を握る。体もいささか十夜に寄りかかっている所があり、すぐ近くからする涼の甘い匂いに十夜は顔を赤らめた。 心臓がうるさい。 アニメなんて、全く頭に入ってこない。 『ふふっ…、…わぁっ!見た?今のっ』 「え?あ……あ゙?」 『……もー十夜のバカチン。アニメ見ない人にはこうしちゃうんだからっ』 そういって涼がしてきたのは…こちょこちょ。十夜の脇をこちょこちょと小さな手で攻撃するが、そんなもの全く効いていない。なかなか反応しない十夜に飽きたのか、またアニメを見出した。けど…、 「ここ座れよ」 『えっ…そ、そこ?』 「ああ、アニメ見てなかったお仕置きだ」 『むぅ…お、重くてもしらないからっ』 ─ちょこん (ふっ…ちっせぇ…) 涼が座らされたのは十夜の膝の上。お姫様抱っこに近い状態で座らされ、涼は十夜の服を掴んで体を安定させた。弟だというのに兄をすっぽり包んでしまう大きな体。暖かくてなんだか安心する。 ─チュッ、チュ… 『っ…や、十夜!止めてっ』 「涼はアニメ見てていいぜ?」 『でも…なんかくすぐったいし恥ずかし…っ』 [*前へ][次へ#] [戻る] |